決して有益でない。

水分補給はしっかりね。

『わすれない呪いをかけてやる、』

 

 

''温もり''というと嫌に素敵に聞こえるが、

全くそうではない。

あの熱、をふと思い出しただけだ。

夏の暑さにやられた頭は僅かに働き、

下らない事をぼーっと考える。

考えたからと言って何も変わらないのに、

今更。

もうとっくに、死んだのだ。

 

私は生きていて正解だったか、存分に吸うことを赦された空気を深く吸い込み、やけに澄んだ青空を仰ぎ、生い茂る緑へと視線を移す。

余りの熱気に、目が霞んでいる。そこで首元の汗を拭った。

「死んだ」というのは現世から一つの生が消滅したとかそういう話ではない、ただ私は生きていて、彼は死んだ。

本当は私が死んで、彼が生きるのが正解なのだ。何とも可笑しい話であるが。

 

何処かで、足りない色があることには気が付いていた。

 

運命で繋がれた、糸。お気に入りだった指先のエナメル。

熟れた唇、瞳に揺らめく、愛の色───────染まる赤。

 

それとも彼の得意な、真っ赤な嘘だろうか。或いは死んだという彼の血か、何度も見ようとした自らの血か。

 

血。ああ、喉が渇いたなぁ。

暑い、熱い。

一層の事、血でも吸われて殺されたかった、

 

静かだった筈が一瞬揺れた心と、

ぐらついた足下、

頭蓋が弾け飛ぶような衝撃。

至極鮮やかな色。

せめてもの、抵抗。

 

 

す ナ  口 い か